「デジタル空間の教育領域への活用に向けた実証実験に関する報告書」を読んで
このたび日本デジタル空間経済連盟から、2024年6月~2025年8月に「メタバース大学プロジェクトチーム」が実施した、「デジタル空間の教育領域への活用に向けた実証実験に関する報告書」が公表されました。
129名が参加した実証実験の結果
この実証実験では、参加者129名による12回の講義を通じて、ZOOMなどのWeb会議システムとメタバースでの学習効果を詳細に比較検証した結果、7割の受講者がWeb会議より「楽しく学べた」と回答し、9割近くがクイズ機能に学習効果を実感したという驚きの結果が得られたとのこと。
アバターによる「なりきり効果」の発見
特に印象的だったのは、参加者の皆さんが「20歳若返った自分」や「普段着ない服装の自分」でなりきり効果を実感していたという報告です。年齢や外見の枠を超えて、本来の自分を表現できる、これこそメタバースの真価といえるでしょう。
第三の教育インターフェースとしての可能性
この実証実験では、メタバースでの学習が「第三の教育・研修のインターフェース」として、リアルともWeb会議とも異なる独自の価値を持つことが明らかになりました。最も注目すべきは、メタバース学習における感情面での優位性で、参加者の7割以上がWeb会議と比較して「賑やかで楽しく参加できた」と回答し、6割以上が「より積極的に参加できた」と答えています。
アバターとエモート機能が生み出す心理的効果
特に興味深いのは、アバターとエモート機能が生み出す心理的効果です。参加者からは「アバターだったので最前列で講義を聴けました」「Webだと顔が映ることで余計なことが気になるが、エモートで十分リアクションできる」といった声が寄せられました。
学習効果と満足度の高評価
学習効果についても、5割以上の参加者がWeb会議と比較して「理解度が上がる」と回答しており、総合満足度では7割弱が「やや満足以上」と評価しています。
リカレント教育・リスキリングへの応用可能性
また注目すべきは、メタバース教育が「感情面での盛り上げ」に優れ、社会人が楽しく継続学習するのに非常に効果的だということです。これはリカレント教育、リスキリングの手法としても注目すべき点です。
今後の社会実装と課題
実験では今後の社会実装として、独立したメタバース教育プラットフォームの構築と既存教育機関へのメタバース導入という二つのモデルが提案されています。ただ、昨日のイベントでも感じたのは、子供たちの教育にメタバースやXRを使う事業は増えていますが、中高年のリスキリングにはまだ活用されるケースが少ないなと感じています。ミドルシニア女性のメタバース活用コミュニティである「Women's Metaverse Network」の話をすると、結構「へええ!」という反応が多いのはそのせいかもしれません。
今後もWomen's Metaverse NetworkおよびMetaBloomは、社会人のメタバース活用の推進の実験の場として積極的に活動を続けていきます。